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サロンの特典は何がいい?開業時に入れる数と重ねない決め方

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サロンの特典は何がいい?開業時は「数」より「重ねない決め方」が先

開業するサロンの特典は何がいいか。答えは、特典の種類を選ぶ前に同じお客様に何個重なるかを決めることです。新規割・誕生日・紹介・ポイント・スタンプ・前売りのお得分は、一つずつは小さな値引きでも、同じ人に同時に乗ると利益が大きく削れます。

この記事でわかること

  • 特典が重なったとき、1回の来店で値引きがいくらになるかの試算
  • 特典ごとに目的を書き出し、入れる数を絞る手順
  • 重ねないための併用ルール3つと、すでにある特典を減らすときの段取り

スタンプカードを何個で設計するかはサロンのスタンプカードは何個で設計する?来店周期から逆算する貯め方で、割引を誰に当てるかはサロンの割引を特定の人だけに|クーポンと会計値引きの使い分けで扱っています。この記事は、その手前の「特典を全部でいくつ持ち、どう重ねないか」の話です。

結論:特典は目的ごとに1つ、1回の会計で重ねない

特典の決め方は、次の3つに集約できます。

  1. 特典ごとに目的を1つ書く。新規を呼ぶ・再来を促す・紹介を増やす・前払いを売る、のどれか。目的が同じ特典が2つあれば片方を消し、目的が書けない特典は入れない
  2. 開業時は少なく始める。来店周期・単価と原価率・運用の手間を見て、2〜3個から始め、足りなければ足す
  3. 併用ルールを先に決める。「1回の会計で使える特典は1つ」などを、特典を出す前に1行で決めておく

ポイントやスタンプが悪いわけではありません。来店周期が短く、前売りを売っていない店では、ポイントやスタンプが向いていることもあります。大事なのは、ほかの特典と同じ人に重ならないかを入れる前に確かめることです。

なぜ特典を増やすほど利益が削れるのか

特典は、それぞれ別の目的で、別のタイミングに足されていきます。開業のときに新規割を作り、半年後に誕生日クーポンを足し、常連が増えてポイントを始める。一つずつ見ると、どれも数百円の話です。

ところが、常連のお客様ほど全部の条件を満たします。前売りを買っていて、ポイントが貯まっていて、誕生月で、最近お友達を紹介してくれた。この人の1回の来店で、値引きがいくらになるかを試算してみます。

試算の前提(数字はすべて架空です。平均や相場ではありません)

  • 1回の施術の単価:8,000円
  • 材料費などの原価率:10%(800円)

原価率は、売上に対する材料費などの割合です(詳しくは原価率とは?サロンの材料費の考え方と目安)。

特典1回あたりの値引き(架空)決めたときの目的
前売り(プリペイド)のお得分 10%相当800円前払いを売る
ポイント 会計の5%400円再来を促す
スタンプ 10回で1,000円分100円再来を促す
誕生月クーポン1,000円再来を促す
紹介した側へのお礼500円紹介を増やす
合計2,800円(単価の35%)

8,000円の施術で、実際に受け取るのは5,200円です。原価の800円は変わらないので、手元に残る額は次のように変わります。

  • 特典なし:8,000円 − 800円 = 7,200円
  • 特典が全部乗る:5,200円 − 800円 = 4,400円

値引きは単価の35%でも、手元に残る額は約39%減ります。値引きした分は、原価ではなく利益からそのまま引かれるからです。

もう一つ見てほしいのが表の右の列です。「再来を促す」が3つ並んでいます。同じ目的の特典を3つ重ねても、お客様が来る回数が3倍になるわけではありません。ここに、特典を減らす余地があります。

客単価(お客様1人が1回に支払う金額)で見ても、特典が重なるほど同じ施術の客単価が下がっていきます。客単価の考え方は客単価とは?計算方法と平均の考え方・上げ方の基本にまとめています。

特典の数を決めて、重ねないための4つの手順

ここからは、紙のスタンプカードや公式LINEのクーポンだけで運営している店でも、そのまま進められる手順です。

手順1:特典ごとに「目的」を1つ書き出す

いま入れている特典、入れようとしている特典を全部書き出し、それぞれの目的を1つだけ書きます。

目的当てはまる特典の例
新規を呼ぶ初回割引、新規限定メニュー
再来を促すポイント、スタンプ、次回予約の特典、再来店クーポン、誕生月クーポン
紹介を増やす紹介した側・された側への特典
前払いを売る回数券や前売りのお得分

書き出したら、次の2つのルールで絞ります。

  • 目的が同じ特典が2つ以上あれば、1つを残して消す
  • 目的が書けない特典は入れない(「なんとなく他の店もやっているから」は目的になりません)

「再来を促す」は特に重なりやすい目的です。再来店クーポンを送る時期の決め方は再来店クーポンは何ヶ月後に送る?タイミングと有効期限の決め方で扱っています。

前売りにお得分があるなら、会計ごとのポイントは付けない

前売り(プリペイド)を売っているリラクゼーションサロンのオーナーから、この絞り方そのものの話をうかがいました。

その店では、前売りの金額にすでにお得分を上乗せしています。そこで会計のたびにポイントが付くと、前売りで買った人には特典が二重に乗ることになります。オーナーはこう話していました。

ポイントは……もうプリペイドにお得分が含まれてるので(要旨)

そのうえで残したい特典は1つだけでした。

2か月以内に次回予約してくれた方に、250ポイントで、250円分として使える(要旨)

前売りのお得分は「前払いを売る」、次回予約の特典は「再来を促す」。目的の違う2つだけを残し、目的が重なる会計ごとのポイントは付けない。先ほどの表の「再来を促す」が3つ並んだ状態とは逆の、目的ごとに1つずつの形です。来店の間隔を2か月と決めているので、お客様にとっても「次をいつまでに予約すればよいか」が分かりやすくなります。

手順2:開業時は「少なく始めて足す」。入れる前に確かめる3点

開業のときは、2〜3個の特典から始めるのが扱いやすい形です。入れる前に、次の3点を確かめます。

  1. 来店周期:お客様が何週間ごとに来るか。周期が長い業態では、スタンプやポイントがなかなか貯まらず、特典として実感されません。周期から逆算する考え方はスタンプカードの設計の記事にあります
  2. 単価と原価率:値引きの余地がどれだけあるか。先ほどの試算のように、単価と原価から「手元に残る額」を出し、特典が全部重なっても許せる範囲かを見ます
  3. 運用の手間:会計のたびに確かめる項目が1つ増えるごとに、確認漏れや付け忘れが増えます。会計の場で判断する項目を減らす段取りはサロンのお会計をスムーズにする方法|スタッフ任せでも割引を間違えないで書いています

「あんまり色々やっちゃうと、利益的にも」——開業準備中のネイルサロンの判断

開業準備中で、子育てをしながらネイルサロンを始めるオーナーにお話をうかがったときも、この3点のうち「手間」と「利益」から特典を絞っていました。

来店スタンプについては、こう話していました。

来店スタンプやっちゃうと、ちょっと面倒いっていうか。新規の割引とかも考えてるから、そこまでもしなくていいかなって(要旨)

入れると決めたのは、誕生日・新規・紹介の3つです。

誕生日と、新規様割とか、ご紹介割とか。あんまり色々やっちゃうと、ちょっとやっぱり利益的にもあれなので(要旨)

この3つを目的で分けると、誕生日は「再来を促す」、新規割は「新規を呼ぶ」、紹介は「紹介を増やす」で、重なりがありません。開業前の段階で、特典を足す前に「目的が重ならない3つ」で止めている例です。

手順3:重ねない決め方(併用ルール)を先に決める

特典を絞っても、同じ人に複数乗る場面は残ります。そこで、特典を出す前に併用ルールを決めておきます。代表的な型は次の3つです。店の事情に合うものを選びます。

型ルールの例向いている店
(a) 1会計1特典1回の会計で使える特典は1つまで特典が3つ以上ある・会計に立つ人が複数いる
(b) 前払いと分ける回数券や前売りで支払う方には、会計ごとの特典を付けない前売りにお得分を付けている
(c) 新規と常連を分ける新規向けの特典と常連向けの特典を、同じ人に同時に使わない新規割と、常連向けのポイントなどを両方持っている

ルールはお客様にも分かる形で、特典の案内に1行添えておきます。「ほかの特典との併用はできません」と書いておけば、会計の場で説明に困ることが減ります。

特典を発行する場所を1つに寄せる

もう一つ、重なりを生むのが発行する場所が複数あることです。紙のショップカード、公式LINEのクーポン、予約ツールのクーポンなど、同じ種類の特典を別々の場所から出すと、誰に何を渡したかを追えなくなります。

先ほどのネイルサロンのオーナーも、公式LINEと予約ツールの両方で誕生日クーポンを出せると分かったときに、こう話していました。

あっちもこっちでもやっちゃうと、分かんなくなっちゃいそう(要旨)

特典ごとに「どこから出すか」を1か所に決め、書き出した一覧に添えておきます。使った履歴も同じ場所に残るので、重なりに気づきやすくなります。

手順4:すでにある特典を減らす・やめるときは予告する

すでに特典を出している店が数を減らすときは、いきなりやめずに予告します。

  1. やめる日を決め、1〜2か月前から店内とLINEなどで知らせる
  2. 残っているポイントや発行済みのクーポンの扱いを決める。期限までは使えるようにする、期限を設けて切り替える、などを先に決めて一緒に伝える
  3. 代わりに残す特典を一緒に伝える。「ポイントは◯月で終了し、次回予約の特典に切り替えます」のように、何が残るかを書く

お客様が前払いで買った残高がある場合の片づけ方は、前払い残高が残ったまま解約できない|サロンの片づけ方3つと解約日で詳しく扱っています。初回割引をやめる時期の考え方はサロンの初回割引はいつやめる?クーポン価格を自社予約に移す決め方にあります。

特典と景品表示法の関係(消費者庁の景品規制の概要から)

特典の中身によっては、景品表示法の「景品規制」が関係します。消費者庁の景品規制の概要(2026年10月7日確認)によると、抽選などによらず、来店や購入をした人にもれなく渡す景品(総付景品)には上限があり、取引価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2とされています。

一方で、消費者庁の景品類ではないもの(同日確認)では、次回以降の支払いに使えるポイントや割引券のように、支払う金額を減らす「値引き」と認められるものは景品類に含まれないと説明されています。ただし、抽選で割引券を配る場合や、割り戻したお金の使い道を特定の商品に限る場合、景品と値引きのどちらかを選ばせる場合などは、値引きと認められないことがあるとされています。

サロンの実務に落とすと、確かめておきたいのは次の点です。

  • 特典が「値引き」なのか、「物を渡す」(ノベルティやホームケア用品のプレゼントなど)なのかを分けて書き出す
  • 物を渡す特典は、施術の金額に対して上限の範囲に収まっているかを見る
  • 抽選やくじで特典を配る企画をするときは、別の規制(懸賞の規制)がかかるので、始める前に消費者庁のページを確認する

個別の企画が規制にあたるかどうかは、消費者庁の窓口や専門家に確かめてください。また、紹介の特典でお客様にSNSへの投稿をお願いする場合は、広告であることが分かる表示が要ります(ステルスマーケティングの規制)。紹介の進め方と注意点はサロンの紹介集客を増やすには|新規を取りに行く前の3つの順番にまとめています。

よくある失敗とNG

  • 「他の店もやっているから」で特典を足す。目的が書けない特典は、利益を削るだけで終わりがちです。手順1の表に書けないものは入れません。
  • 特典を足すたびに併用ルールを見直さない。新しい特典を始めた日に、ほかの特典と重なるかを1行で決め直します。
  • 前売りのお得分と会計ごとのポイントを両方付ける。前払いで買った常連ほど特典が二重に乗ります。前売りを売っている店は、型(b)から検討します。
  • 同じ特典を複数の場所から発行する。紙・LINE・予約ツールのどこから出したかが分からなくなり、二重に使われても気づけません。
  • 期間や条件をぼかして案内する。期間が決まっていないのに急がせる書き方や、条件によってはお得にならないのに誰でもお得に見える書き方は、お客様に誤解を与えるおそれがあります。期間と条件をそのまま書きます。
  • 予告なしに特典をやめる。貯めていたお客様の不満につながります。手順4のとおり、やめる日・残高の扱い・代わりの特典をまとめて伝えます。

業態ごとに気をつけたいこと

  • 美容室:来店周期が1〜3か月と長めの店が多く、スタンプやポイントは貯まるまでに時間がかかります。次回予約の特典や誕生月の特典など、1回で完結する特典のほうが実感されやすい傾向があります。
  • ネイル・まつげ:周期が3〜4週間前後と比較的短く、ポイントやスタンプが向いている店もあります。その場合は新規割と同じ人に重ならないよう、型(c)を決めておきます。
  • リラクゼーション・エステ:回数券や前売りを売っている店が多い業態です。前売りのお得分があるなら、会計ごとの特典は付けない型(b)から考えます。回数券と月額制の選び方はサロンの回数券とサブスクはどっち?前売りの選び方3つの軸にあります。
  • 整体・鍼灸などの院:特典の案内に施術の効果を結びつけた書き方をしないよう注意します。特典はあくまで料金や予約の条件として書きます。

まとめ

サロンの特典を決めるときの手順は、次のとおりです。

  1. 特典ごとに目的を1つ書き出す。目的が同じ特典は1つに絞り、目的が書けない特典は入れない
  2. 単価と原価率で試算する。特典が全部重なったとき、手元に残る額がいくらになるかを出しておく
  3. 開業時は2〜3個から始める。来店周期・値引きの余地・運用の手間を確かめてから足す
  4. 併用ルールを先に決める。1会計1特典・前払いと分ける・新規と常連を分ける、の3つから選ぶ
  5. 発行する場所を1つに寄せ、やめるときは予告する

特典は増やすより、重ねないほうが利益を守れます。いま出している特典を表に書き出し、「再来を促す」が何個並ぶかを数えるところから始めてみてください。リピート率(一度来たお客様が再び来店する割合)を特典に頼らず見ていく方法はリピート率とは?計算方法とサロンの目安、お客様1人と長く付き合う中での売上の見方はLTVとは?サロンの顧客生涯価値をやさしく解説で扱っています。

特典の種類と使った履歴を、お客様ごとに一か所で見る

特典の重なりに気づけるかどうかは、そのお客様に何を渡し、何を使ったかを一か所で見られるかで変わります。SALONA(サローナ)は、ポイントやスタンプ、前売り・回数券の残り、誕生月のクーポンを、お客様ごとの記録としてまとめて扱えます。ポイントとスタンプはそれぞれ使うかどうかを選べるので、入れる特典を絞った店でもその形のまま運用できます。

SALONAで特典と顧客の記録を見てみる →

よくある質問(FAQ)

Q. 開業したばかりのサロンの特典は、何がいいですか。
A. 特典の種類より先に、目的を決めます。新規を呼ぶ・再来を促す・紹介を増やす・前払いを売る、のうち、いまの店に必要な目的を2〜3個選び、目的ごとに特典を1つずつ入れます。目的が重ならなければ、同じお客様に特典が何重にも乗ることを防げます。

Q. ポイントカードはやめたほうがよいですか。
A. 店によります。来店周期が短く、前売りを売っていない店では、ポイントが向いていることもあります。一方で、前売りにお得分を付けている店や、再来を促す特典がほかにもある店では、ポイントが重なりの元になります。やめるときは1〜2か月前から予告し、残っているポイントの扱いと、代わりに残す特典を一緒に伝えます。

Q. 特典が重ならないようにするには、どうすればよいですか。
A. 特典を出す前に併用ルールを1行で決めます。「1回の会計で使える特典は1つまで」「前売りで支払う方には会計ごとの特典を付けない」「新規向けと常連向けの特典は同時に使わない」のどれかを選び、特典の案内に添えておきます。あわせて、特典を発行する場所を1か所に寄せると、誰に何を渡したかを追いやすくなります。

運営: 株式会社art crat./SALONA編集部
公開日: 2026-10-07 最終更新: 2026-10-07
本記事の一部は、SALONA利用サロンへのヒアリングに基づき匿名化して掲載しています。
参照: 消費者庁「景品規制の概要」「景品類ではないもの」(2026-10-07確認)

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