指名なしの予約は誰が受ける?2〜3人のサロンの振り分けルール
美容室で指名なしの予約の担当を決めるなら、型を1つ選んで書いておく
美容室で指名なしの予約の担当の決め方が決まっていないと、予約のたびにその場で相談し、気づけば片方に偏っていた、ということが起きます。この記事でわかることは3つです。(1)振り分けのルールを決める前に確かめる3つ、(2)振り分けの4つの型と、向いているお店、(3)当日の入れ替えなどの細部と、スタッフと共有するメモの文例です。
結論:全員の予定を一か所に集め、4つの型から選んで紙1枚に書く
先に答えをお伝えします。
- 全員の予定が一か所で見える状態をつくる。これができていないと、どの決まりも回りません。
- 指名なしで来るのはどんなお客様かと、指名なしの売上をどう数えるかを先に決める。
- 振り分けの型を、順番に回す/空いている人が受ける/得意なメニューで分ける/新規は決まった人が受けるの4つから選ぶ。組み合わせても構いません。
- 当日の入れ替え、担当の名前を伝える時期、次回の指名の扱いを決め、紙1枚のメモにしてスタッフと共有する。
- 数か月に一度、指名なしの予約が誰に何件入ったかを数えて見直す。
紙の台帳でも、共有のカレンダーでも、予約システムでも、この順番は同じです。
指名なしの予約で毎回迷うのは、予約が人ごとに分かれているから
少人数のお店では、スタッフ一人ひとりが自分の予約を自分で持っていることがよくあります。手帳が人ごとに分かれている、スマホのカレンダーが人ごとに違う、予約の受け口が人ごとに分かれている、といった形です。
指名のある予約なら、それで困りません。指名された人が、自分の予定に入れればよいからです。困るのは指名なしの予約です。
- どちらの予定に入れるかを、その都度決めることになる。 受けた人が自分の予定に入れてしまい、相手に伝え忘れることもあります。
- 店全体の空きが一か所で見えない。 「その時間、どっちが空いてる?」と、施術中の相手に確かめることになります。
- 判断が遅れた分だけ、お客様を待たせる。 返事を待つ間に、お客様が別のお店を探すこともあります。
- 誰が何件受けたかが、あとから数えられない。 偏っていても気づくのが遅れます。
つまり、指名なしの予約で迷うときは、決まりが無いことより先に、予定が一か所に集まっていないことが原因になっている場合が少なくありません。
夫婦2人で営む美容室でうかがった、指名なしの予約の困りごと
夫婦2人で営む美容室のオーナーに、2026年9月にお話をうかがいました。
このお店では、予約を2人それぞれが別々に管理していました。指名のある予約はそれぞれが受ければよいのですが、指名なしの予約が加わると、店全体を一か所で見られないことが負担になっていたそうです。オーナーはこう話していました。
個人個人でそれぞれを管理するので、フリーの方も合わせたら、もう一括で管理できないのがめんどくさい
2人だけのお店でも、予約の置き場所が2つに分かれていると、指名なしの予約のたびに「どちらの予定に入れるか」「そもそも店としてその時間は空いているか」を2か所で確かめることになります。この例から分かるのは、振り分けの決まりを考える前に、2人分の予定を同じ場所に並べることが出発点になる、ということです。決まりは、全員の空きが一度に見えて初めて使えるものになります。
振り分けのルールを決める前に確かめる3つ
型を選ぶ前に、次の3つに答えを書いておきます。
1. 全員の予定が一か所で見えるか
紙の台帳、共有のカレンダー、予約システムのどれでも構いません。大事なのは、指名なしの予約を受ける人が、その場で店全体の空きを見られることです。
人ごとに予定を分けているお店は、まずここから始めます。紙なら1冊の台帳に人ごとの列をつくる、カレンダーなら店の共有カレンダーを1つつくって全員の予定を入れる、といった形です。人ごとに営業時間や休みが違うお店の予定の並べ方は、シェアサロンの予約管理|人ごとに違う営業時間と休みの決め方が参考になります。出勤日の決め方から見直すなら、美容室のシフトの作り方にまとめています。
2. 指名なしで来るのはどんなお客様が多いか
指名なしの予約といっても、中身はお店によって違います。
- 新規のお客様が多いお店:初めての方は、担当した人を次回指名することがよくあります。つまり、誰が受けるかで、その後の指名と再来店の数が変わることがあります。新規の方が2回目に来てくれた割合(新規再来率)の数え方は、新規再来率とは?にまとめています。
- 常連さんが「どちらでも」と言っているお店:もう店を気に入っている方なので、空いている人が受けても大きな差は出にくいはずです。
直近1〜2か月の指名なしの予約を見返し、新規と常連のどちらが多いかを数えておくと、次の型選びが早くなります。
3. 指名なしの売上をどう数えるか
歩合(売上に応じて給与が変わる仕組み)や、指名のバック(指名で入った売上の一部を担当者に上乗せする仕組み)があるお店では、誰が指名なしの予約を受けるかで、その人の収入が変わります。
ここを決めないまま振り分けると、「空いている時間に回されるのはいつも自分」「新規ばかり取られている」といった不公平感につながります。たとえば次のどれにするかを、振り分けの型より先に決めておきます。
- 指名なしの売上も、受けた人の売上として数える
- 指名なしの売上は受けた人の売上に数えるが、指名のバックは付けない
- 指名なしの売上は店の売上として別に数える
どれが正しいという決まりはありません。雇用か業務委託かでも考え方が変わるので、給与の決め方そのものは社労士や税理士などの専門家に確かめてください。業務委託の方との分け方は面貸し・業務委託スタッフの予約管理と歩合・源泉の分け方に、スタッフにどこまで数字を見せるかはスタッフに売上や給与はどこまで見せる?にまとめています。
指名なしの予約の振り分け方は4つの型
指名なしの予約の振り分け方は、おおむね次の4つの型に分けられます。
| 型 | 公平さ | お客様との相性 | 手間 | 偏りやすさ |
|---|---|---|---|---|
| ① 順番に回す(交互・当番制) | 高い | 考えない | 少ない(順番を覚えるだけ) | 偏りにくい |
| ② その時間に空いている人が受ける | 中くらい | 考えない | 少ない | 予定の少ない人に集まることがある |
| ③ 得意なメニューで分ける | メニュー次第 | 仕上がりをそろえやすい | 最初の線引きに手間 | 人気メニューの担当に集まる |
| ④ 新規は決まった人が受ける | 低い | 初回の印象をそろえやすい | 少ない | 決まった人に集中する |
型① 順番に回す(交互・当番制)
指名なしの予約を、AさんBさんAさん……と交互に、または「今週はAさん」のように当番で受ける型です。
いちばんの良さは、誰が見ても公平だと分かることです。数えるのも簡単です。その代わり、得意不得意やお客様の好みは考えません。順番が回ってきた人がその時間に埋まっていたら次の人に回す、というところまで決めておくと、止まらずに回ります。
向いているお店:スタッフの技術や得意分野に大きな差がなく、歩合の不公平感を一番避けたいお店。
型② その時間に空いている人が受ける
お客様が希望した時間に空いている人が受ける型です。空いている人が複数いれば、その日の予約が少ない人を優先します。
空いている時間を埋めやすいのが良さです。忙しい人にさらに予約が集まることを防げます。一方で、出勤日が多い人や予約の少ない人に指名なしの予約が集まり、結果として偏ることがあります。型①と同じく、月に一度は件数を数えておきます。
向いているお店:スタッフごとの予約の埋まり方に差があり、まず空き時間を減らしたいお店。
型③ 得意なメニューで分ける
「カラーはAさん、カットはBさん」「まつげパーマはAさん、エクステはBさん」のように、メニューで担当を決める型です。
仕上がりを安定させやすいのが良さです。ただし、メニューごとに誰が受けられるかを先に書き出しておく必要があります。両方できるメニューをどうするかも決めておきます。人気メニューの担当に予約が集まりやすいので、その人の予定が埋まっているときにもう1人へ回すかどうかも決めておきます。
向いているお店:スタッフごとに得意分野がはっきりしていて、メニューによって仕上がりの差が出やすいお店。
型④ 新規は決まった人が受ける
新規のお客様の指名なしの予約は、オーナーなど決まった人が受ける型です。
初回の印象や説明をそろえられるのが良さです。カウンセリング(施術前の聞き取り)の聞き方や、次回予約の案内の仕方を統一できます。その代わり、新規の予約がその人に集中し、ほかのスタッフに指名がつく機会が減ります。2人目のスタッフを迎えて間もないお店では、そのスタッフのお客様が増えるまでに時間がかかることもあります。
向いているお店:新規の方への説明の型がまだ固まっていないお店、担当によって初回の満足度に差が出ていると感じるお店。
型は組み合わせてもよい
1つの型に決めきれない場合は、分ける軸を1つだけ足します。たとえば次のような組み合わせです。
- 新規は型④、再来の方の指名なしは型①
- カラーやパーマなど時間の長いメニューは型③、それ以外は型②
どれが正解というものではありません。大事なのは、予約を受けた人が迷わずに決められる言葉で書いてあることです。条件が3つ以上重なる決まりは、忙しい日に守られにくくなります。
ルールを決めたら、あわせて決めておく3つの細部
型だけでは、当日の困りごとは片付きません。次の3つも一緒に決めておきます。
当日の入れ替え
担当に決まっていた人が急に休んだ、前のお客様の施術が長引いた、というときの扱いです。
- 指名なしの予約は、当日の都合で担当を入れ替えてよいことにしておく
- 入れ替えるときは、もう1人が引き継ぐのか、時間をずらしてもらうのかを決めておく
- 担当の名前をすでに伝えている場合は、来店前に一言連絡する
指名のある予約と違い、指名なしの予約は入れ替えがしやすいのが利点です。その利点を使えるように、入れ替えてよいことを最初から決まりにしておきます。
担当の名前をいつ伝えるか
予約を受けた時点で「担当は◯◯です」と伝えるのか、来店されたときに伝えるのかを決めます。
- 予約の時点で伝える:お客様は安心できますが、当日入れ替えたときに連絡が要ります。
- 来店時に伝える:入れ替えは自由ですが、「誰が担当か分からない」と不安に思う方もいます。
先ほどの当日の入れ替えと合わせて考えると決めやすくなります。入れ替えが多いお店は、来店時に伝える形のほうが連絡の手間が少なく済みます。
次回、その人を指名したらどうするか
指名なしで来た方が、次回「前回の◯◯さんで」と予約してきたら、そこからは指名の予約として扱うのかを決めます。
指名料をいただいているお店では、2回目から指名料がかかるのかもお客様に伝わるようにしておきます。指名料そのものの決め方は、サロンの指名料・時間外料金の決め方にまとめています。歩合やバックのあるお店では、指名に切り替わった時点で売上の数え方が変わるかどうかも、先ほどの「指名なしの売上の数え方」と合わせて決めておきます。
スタッフと共有する「指名なしのご予約の受け方」メモの例
決めたことは、紙1枚にまとめて全員が見られる場所に置きます。次の文例を、お店の言葉に合わせて直してお使いください。
指名なしのご予約の受け方(◯年◯月◯日から)
1. 指名なしのご予約は、新規の方は◯◯が受ける。2回目以降の方は、◯◯→◯◯の順番に交互で受ける。順番の人がその時間に埋まっていたら、次の人が受ける。
2. 担当の名前は、ご来店時にお伝えする。
3. 当日、担当が休み・前の施術が長引いたときは、もう1人が引き継ぐ。引き継げないときは、お客様に連絡して時間をご相談する。
4. 指名なしで来た方が次回同じ人を指名したら、そこから指名のご予約として受ける(指名料は◯回目から)。
5. 指名なしの売上は、受けた人の売上として数える。指名のバックは付けない。
6. ◯月末に、指名なしのご予約が誰に何件入ったかを数えて、この決まりを見直す。
メモに「いつから」と「いつ見直すか」を入れておくのが要です。決まりは、一度決めて終わりではなく、偏りを数えて直していくものです。
最初に話し合うときは、型を選ぶ前に「どうなったら不公平だと感じるか」をお互いに一言ずつ出しておくと、あとで意見が分かれたときに立ち戻る場所ができます。件数の差なのか、新規の数なのか、売上の差なのか。人によって気にするところが違うので、そこが分かれば、見直しのときに何を数えればよいかも決まります。
よくある失敗
- 予定が人ごとに分かれたまま、決まりだけつくる。 空きが一か所で見えないので、結局その都度の相談に戻ります。
- 受けた人が自分の予定に入れて、そのまま抱える。 受けた人が空いていなくても自分で受けてしまい、もう1人の空き時間が埋まりません。
- 売上の数え方を決めずに振り分ける。 件数は公平でも、収入に差が出て不満が残ります。
- 決まりを口頭だけで共有する。 忙しい日に解釈が分かれ、「言った・言わない」になります。
- 一度決めたきり、件数を数えない。 偏りに気づくのは、誰かが不満を口にしたときになります。
業態ごとに気をつけたい点
- 美容室 カラーやパーマは時間が長く、放置時間に別のお客様を受けることもあります。型②で振り分けるときは、「空いている」の中に放置時間を含めるかどうかを決めておきます。
- ネイル・まつげ デザインや毛量の好みで仕上がりの差が出やすい業態です。型③でメニューやデザインの難しさごとに担当を分けておくと、初回の満足度をそろえやすくなります。
- エステ・リラクゼーション 力加減などの好みが分かれるので、指名なしで来た方の感想を次回の担当に引き継げるよう、施術の記録を人ごとではなくお客様ごとに残しておきます。
- 自費の整体・治療院 体の状態の聞き取りと施術の記録を、担当が替わっても読める形で残すことが先です。担当が替わるときは、前回の記録を読んでから施術に入る流れを決まりに入れておきます。
- ひとりサロンから2人目を迎えたばかりのお店 これまでのお客様は、ほぼオーナーの指名です。指名なしの予約をどちらが受けるかは、新しいスタッフのお客様を増やす大事な機会になります。迎える前に渡しておくことはひとりサロンのスタッフ引き継ぎ|人が入る前に渡す5つのことに、雇う時期の考え方はひとりサロンが2人目を雇うタイミングにまとめています。
まとめ:指名なしの予約は「一か所の予定」と「紙1枚の決まり」で回す
- まず、全員の予定が一か所で見える状態をつくる。
- 指名なしで来るお客様の中身と、指名なしの売上の数え方を決める。
- 振り分けの型を、順番/空いている人/得意なメニュー/新規は決まった人の4つから選ぶ。組み合わせてもよい。
- 当日の入れ替え・担当の名前を伝える時期・次回の指名の扱いを決める。
- 紙1枚のメモにして共有し、数か月に一度、件数を数えて見直す。
最初の一歩は、直近1か月の指名なしの予約が、誰に何件入ったかを数えてみることです。偏りがあるかどうかは、それだけで見えてきます。
スタッフ全員の予約を1つの台帳で見るなら
SALONA(サローナ)は、スタッフ全員の予約を1つの台帳に並べて見られる、サロン向けの予約・顧客管理の仕組みです。指名なしで入った予約の担当を、その日の予約が少ない人から、またはお店で決めた優先順位の高い人から自動で割り当てることもできます。全員の予定を一か所にまとめたいときの選択肢の一つとしてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 美容室で指名なしの予約は、新人のスタッフに回すべきですか?
A. 決まった正解はありません。新人の方に回すと指名がつく機会は増えますが、初回の説明や仕上がりにばらつきが出ることもあります。新規の方はオーナーが受け、2回目以降の指名なしは順番に回すなど、お客様の種類で分けるやり方もあります。お店の新規と常連の割合を数えてから決めると迷いません。
Q. 指名なしで担当した人を、次回お客様が指名したら指名料はかかりますか?
A. お店の決め方次第です。2回目から指名料をいただくお店も、しばらくはいただかないお店もあります。どちらにする場合も、お客様が予約するときに分かるよう、メニューや予約ページに書いておきます。指名料の決め方そのものは、指名料の記事にまとめています。
Q. 2人だけのお店でも、振り分けのルールは必要ですか?
A. 2人でも、予定が人ごとに分かれていると、指名なしの予約のたびに相談が要ります。まずは2人の予定を一か所に並べ、「新規はどちらが受けるか」「それ以外は交互か、空いている方か」の2点だけでも決めておくと、その場で迷う回数が減ります。決めたことは短いメモにして、数か月ごとに件数を数えて見直してください。
運営:株式会社art crat./SALONA編集部
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公開日:2026-09-29/最終更新:2026-09-29
本記事の一部は、SALONA利用サロンへのヒアリングに基づき匿名化して掲載しています。