常連だけが予約できる枠の作り方|サロンが予約を分ける4つの方法
サロンで会員限定の予約枠を作る前に決めること
サロンで会員限定の予約枠を作るとき、先に決めるのは方法ではありません。「誰を常連とするか」と「なぜ分けたいか」の2つです。この2つが決まると、4つある分け方のどれが自店に合うかが自然に絞れます。美容室で常連だけが予約できる時間帯を作りたい場合も、公式LINEで予約を始める前に誰に開くか迷っている場合も、順番は同じです。
この記事でわかること
- 常連・会員の区切り方と、分けたい理由ごとの向く方法
- 入口・時間帯・メニュー・店の確認の4つの分け方の比較
- 一般のお客様が入ってしまったときの決め方と、予約を始める日の段取り
結論:区切り方と理由を決めてから、4つの型から選ぶ
一般のお客様と常連の予約を分ける方法は、大きく4つの型に整理できます。
- 入口ごと分ける。常連には個別の連絡先を案内し、一般の方は別の入口から受ける。
- 時間帯で分ける。夜や週末など、特定の時間は常連だけが入れるようにする。
- メニューで分ける。常連向けのメニューを用意し、対象の方にだけ見せる・選べるようにする。
- 申込みは誰でも、確定は店が判断する。予約の申込みを受けてから、店が確認して確定する。
どの型も、紙の台帳と電話、LINEの個別のやりとり、ネットの予約ツールのどれでも実行できます。ただし、どの型を選んでも仕組みだけで一般のお客様の予約を止めきれるとは限りません。そこで、間違えて入ったときの扱いも先に決めておきます。
「誰でも予約できてしまうのでは」という不安の正体
常連中心で回している店が予約を分けたくなる理由として多いのは、次のようなものです。
- 限られた枠を守りたい。夜の遅い時間や土日は数が少なく、そこを常連のために空けておきたい。
- 新規の受け入れを止めている。ひとりで回しているので新規の集客を一度止めたが、予約ページは誰でも開けてしまう。
- ネット予約を始めると、知らない人まで入ってくるのではと心配している。
私たちがヒアリングでうかがったお店にも、この悩みがありました。会員制を取り入れているあるサロンのオーナーは、遅い時間を会員の方だけの枠にしています。
基本そのうちは16時以降はその会員様しか取れない
(会員制を取り入れているサロンのオーナー)
同じ方は、会員の方が先々まで予約を入れていくので、空きがかなり先まで埋まってしまうことにも悩んでいました。枠を分けることと、1人が持てる予約の数を決めることは、セットで考える必要があるということです。1人が先まで予約を押さえる問題は、通い放題・月額制サロンの予約ルールの決め方|枠の先取りを防ぐで詳しく書いています。
先に決める2つ:何で区切るか、なぜ分けたいか
1. 「常連・会員」を何で区切るか
区切り方は、店の台帳で誰が見ても同じ答えになる条件にします。
| 区切り方 | 例 | 向いている店 |
|---|---|---|
| 来店回数 | この1年で3回以上来店した方 | 会員制度は無いが、通ってくれている方を優先したい店 |
| 会員契約の有無 | 月額制・回数券・会員登録をしている方 | 会員制度やコースがある店 |
| 紹介かどうか | 既存のお客様の紹介で来た方 | 紹介制で回している店 |
| 店が選んだ方 | オーナーが個別に決めた方 | 人数が少なく、顔と名前が一致している店 |
「なんとなく常連」のまま始めると、予約が入るたびに「この方は入れてよいか」を迷うことになります。台帳で数えられる条件にしておくと、判断がぶれません。
2. なぜ分けたいか
理由によって、向く方法が変わります。
| 分けたい理由 | 向く型 | 理由 |
|---|---|---|
| 夜・週末など限られた枠を守りたい | 時間帯で分ける | 守りたいのが「時間」なので、時間で線を引くのがわかりやすい |
| 新規の受け入れを止めたい・絞りたい | 入口ごと分ける/店の確認 | 新規が入ってくる入口そのものを分けるか、確定前に止める |
| 常連にだけ出したいメニューがある | メニューで分ける | 枠ではなく「何を受けるか」で分けたい |
| 客層を絞りたい・初めての方をよく確かめたい | 店の確認 | 一人ずつ見てから確定できる |
理由が2つ以上ある店は、型を組み合わせます。たとえば「夜は会員だけ」と「新規は確認してから確定」は両立します。
4つの分け方の比較
| 型 | 向く店 | 手間 | お客様からの見え方 | 落とし穴 |
|---|---|---|---|---|
| 入口ごと分ける | 新規をほぼ受けていない店・紹介制の店 | 少ない | 常連は専用の連絡先、一般の方は別の入口 | 連絡先が広まると、入口を分けた意味が薄れる |
| 時間帯で分ける | 夜や週末の枠を守りたい店 | 中くらい | 一般の方には、その時間が空いていないように見える | 一般の方が気づかず予約を入れる |
| メニューで分ける | 常連向けの特別なメニューがある店 | 中くらい | 対象の方にだけメニューが見える、または「会員向け」と書かれて見える | 誰が予約しているか分からない状態だと、見せ分けが効かない |
| 店の確認 | 客層を絞りたい店・一人ずつ確かめたい店 | 多い | 申込み後、店からの連絡で確定する | 返事が遅いと、お客様が他の店に流れる |
入口ごと分ける
一番単純で、どの店でもすぐできる方法です。常連の方には、店の電話番号やLINEの個別のやりとりなど、常連だけが知っている予約の連絡先を案内します。一般の方には、ホームページや予約ページなど別の入口を用意するか、受けないと決めます。
完全紹介制の店も、この型の一つです。紹介の受け方はサロンの紹介集客を増やすには|新規を取りに行く前の3つの順番を参考にしてください。
気をつけるのは、常連用の連絡先が口コミで広まることです。広まっても困らないように、その連絡先から入った予約も、確定前に台帳で常連かどうかを確かめる習慣をつけておきます。
時間帯で分ける
「16時以降は会員だけ」「土曜の午後は常連だけ」のように、時間で受ける相手を決める方法です。先ほどのオーナーの店がこの形です。
やり方は、使っている道具によって変わります。
- 紙の台帳と電話で受けている店:その時間帯の予約を受けるときに、台帳で常連かどうかを確かめてから入れる。
- ネットの予約ページがある店:時間帯ごとに受ける相手を決められるツールなら、それを使う。決められない場合は、その時間帯を一般の予約ページでは「受付なし」にしておき、常連の方からは個別の連絡で受ける。
後者のやり方なら、どんな予約ツールでも実行できます。手間は増えますが、一般の方がその時間に入ってくることはまずなくなります。
メニューで分ける
常連の方だけが選べるメニューを用意する方法です。「長年の方向けのロングコース」「会員向けの時間延長」などが当てはまります。
ツールによっては、特定のお客様にだけメニューを見せる機能があります。ただし一般に、こうした見せ分けは予約する人が誰かを、ツールが分かっている状態でないと働きません。初めて予約ページを開いた人や、名前だけで予約する人は、ツールの側から常連かどうかを判定できないためです。見せ分けの機能を使う場合でも、確定前に台帳で確かめる手順は残しておきます。
一般の予約ページにメニューを載せる場合は、メニュー名や説明に「会員の方向け」と書いておきます。価格を出さないメニューや裏メニューの作り方は、サロンのメニュー価格は表示しない設定もあり|伏せ方と裏メニューの作り方で書いています。
申込みは誰でも、確定は店が判断する
予約の申込みはどなたからでも受け付け、店が確認してから確定する方法です。一般に「承認制」「仮予約」と呼ばれます。
先ほどのオーナーも、会員でない方が予約を入れてしまうことを心配して、「こっちが承認しないと予約が入らないみたいなの」は無いのかと尋ねていました。一人ずつ店の目を通すので、取りこぼしが一番少ない方法です。
その代わり、手間は一番かかります。決めておくのは次の3つです。
- 何時間以内に返事をするか。「24時間以内にご連絡します」のように、予約ページか確認の連絡に書いておく。
- 確定と見送りの基準。常連の区切り方(前述)と同じ条件で判断する。
- 見送るときの文面。後述の文例を用意しておく。
返事が遅れると、お客様は「予約できたのかどうか分からない」状態で待つことになります。忙しい日に返事が止まる店は、この型を全部の予約に使わず、守りたい時間帯だけに使うのも一つの手です。
一般のお客様が入ってしまったときの決め方
どの型を選んでも、間違えて一般の方が予約を入れることは起こりえます。先ほどのオーナーは、こう話していました。
会員入ってないのに…予約入れると思って勝手に入れちゃう場合もある
(会員制を取り入れているサロンのオーナー)
悪気があるわけではなく、「空いているから入れた」というだけのことが多いはずです。だからこそ、入ったときにどうするかを先に決めておくことが大事です。選択肢は3つあります。
| 対応 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| お断りして、別の日時を案内する | 守りたい枠がその日すでに少ない | 断るだけで終わらせず、受けられる日時を添える |
| 今回は受けて、次回から案内する | 初めてのことで、その枠に余裕がある | 「今回は特別に」と伝え、次から会員向けの時間だと知らせる |
| 会員の案内をする | 会員制度があり、入っていただくことに意味がある | 勧誘に聞こえないよう、選べる形にする |
決めておかないと、その日の気分や混み具合で対応が変わり、お客様によって扱いが違うことになります。「この時間帯は、初回だけは受ける」「その週の空きが2枠以下なら別の日時を案内する」のように、線を1本引いておきます。
お断りするときの文面は、たとえば次の形です。
ご予約ありがとうございます。申し訳ありませんが、◯曜日の16時以降は会員の方向けのお時間となっており、今回のご予約はお受けできませんでした。◯日(◯)の◯時、または◯日(◯)の◯時でしたらご案内できます。ご都合のよい日時をお知らせいただけますと幸いです。
ポイントは3つです。どの時間が誰向けなのかを書くこと、お受けできなかったことをはっきり書くこと、代わりの日時を添えることです。
公式LINEやネット予約を始める日に「誰に開くか」
これからネット予約を始める店では、別の不安が出てきます。公式LINEで予約を始める準備をしていた別のサロンのオーナーは、こう話していました。
お友達になってる方いるじゃないですか。…受け付けないようにできるっていう設定とかできるんですかね?
(公式LINEで予約を始める準備中のサロンのオーナー)
予約できることが「みんなに出てしまうのか」も気にしていました。公式LINEのメニューに予約のボタンを置くと、特に分けなければ友だち全員に同じボタンが見えるのが一般的です。友だちの中には、何年も来ていない方や、一度だけ来た方も含まれています。
いきなり全員に開かないための段取りは、次の順です。
- 最初の2〜4週間は、常連の方に個別に先に案内する。来店時の一言や個別のメッセージで、「ネットからも予約できるようになりました」と伝える。全員への一斉の告知はまだしない。
- その間は、確定前に店が確認する。どなたが入ってくるかを見ながら、予約の入り方に慣れる。
- 新規の方の入口を決めておく。新規を受けるなら、ホームページや地図の店舗情報など、どこから入ってもらうかを決める。受けないなら、予約ページにもそう書いておく。
- 様子を見て広げる。常連の予約が問題なく回るようになってから、全員への告知に進む。
始める日に全部を開けるより、狭く始めて広げるほうが、後から締め直すより楽です。いったん全員に開いてから「やはり常連だけに」と戻すと、一度予約できたお客様に断る形になるからです。
年末のように、常連に先に案内してから全員に開く運用は、美容室の年末の予約はいつから受ける?12月の枠の配り方と年明けでも同じ考え方で書いています。
お客様の目に触れる呼び名に気をつける
常連と一般を分けると、その区分の名前が、お客様の目に触れる場面が出てきます。予約ページのメニュー名、確認の連絡、お断りの文面などです。
- お客様に見せてよい名前にしておく。店の中で使っている「来店少なめ」「休眠」「要注意」のような呼び方は、そのままお客様の目に触れる場所で使わない。ツールによっては、店が付けた区分の名前がお客様側の画面に表示されることもあるので、表示されても困らない名前にしておく。
- 「入れない」ではなく「誰向けか」で伝える。「一般の方はご予約いただけません」より「会員の方向けのお時間です」のほうが、受け取る側の印象がやわらかくなる。
- 一般の方にも行き先を示す。「会員の方向けのお時間です。どなたでもご予約いただけるのは平日の16時までです」のように、自分が予約できる時間がどこかを一緒に書く。
常連を大事にすることと、一般の方に不公平感を与えないことは両立します。違いは、伝え方だけです。
よくある失敗とNG
区切り方を決めずに始める。「常連っぽい方なら入れる」で始めると、予約のたびに迷い、お客様によって扱いが変わります。台帳で数えられる条件にしてから始めます。
仕組みで全部止められると思い込む。どの予約ツールでも、予約する人が誰か分からない状態では、常連かどうかを最後まで判定できない場合があります。入ってしまったときの対応を決めずに仕組みだけ整えると、いざというときに慌てます。
守る枠を広げすぎる。夜も週末も全部常連だけにすると、一般の方が入れる枠がほとんど残らず、新しいお客様が通い始めるきっかけが無くなります。守る枠は、本当に足りない時間帯だけに絞ります。
店の確認を全部の予約にかけて、返事が遅れる。確認の手間が積み上がり、返事が翌日・翌々日になると、確定を待つお客様が他の店に流れます。返事の期限を決め、守れる範囲だけに使います。
常連用の連絡先を、確かめずに受け続ける。連絡先が広まると、入口を分けた意味がなくなります。常連用の入口から入った予約も、台帳で一度確かめます。
業態別の差分メモ
- 美容室:夜の遅い時間や土日の午前は、仕事帰りや休日に来る常連が集中しやすい時間です。時間帯で分ける型が使いやすい業態です。カラーなど時間の長いメニューを、常連向けの時間帯に入れるかどうかも決めておきます。
- まつげ・ネイル:来店周期が短く、常連の方が次回予約を先々まで入れやすい業態です。枠を分けるのと一緒に、1人が持てる予約の数も決めておくと、枠が先まで埋まる問題を防げます。
- リラクゼーション・ボディケア:会員制や回数券で通う方が多い業態です。会員契約の有無で区切ると判断がぶれません。案内文では予約の手続きにとどめ、体の変化に触れる言い回しは使わないようにします。
- 自費の整体・鍼灸など:初めての方の状態を確かめてから受けたい院は、店の確認の型と相性がよいです。案内文では受付の流れの説明にとどめ、施術の効き目に触れる表現は使わないでください。
まとめ
常連だけが予約できる枠は、次の順番で作ります。
- 何で区切るかを決める。来店回数・会員契約・紹介・店が選んだ方のどれかで、台帳で数えられる条件にする。
- なぜ分けたいかを決める。枠を守りたいのか、新規を絞りたいのか、出したいメニューがあるのか。
- 型を選ぶ。入口・時間帯・メニュー・店の確認から、理由に合うものを選ぶ。組み合わせてもよい。
- 入ってしまったときの扱いを決める。断る・今回は受ける・会員の案内をする、のどれにするかと、お断りの文面を用意する。
- 呼び名と伝え方を決める。お客様に見せてよい名前にし、「誰向けか」と「一般の方はいつ予約できるか」を一緒に伝える。
これからネット予約を始める店は、常連に先に案内し、狭く始めてから広げるのが近道です。
常連向けのメニューと、確認してから確定する受付を一つの画面で
SALONA(サローナ)では、メニューごとに予約できるお客様を決めておくと、対象外の方のWeb・LINEの予約画面にはそのメニューが表示されません。予約を店が確認してから確定する受付にもできるので、この記事の「メニューで分ける」と「店の確認」を、予約やカルテと同じ画面で組み合わせられます。まずはいまの区切り方を決めてから、合う形を確かめてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. サロンで会員限定の予約枠を作るには、何から始めればよいですか。
A. 方法を選ぶ前に、「誰を常連・会員とするか」と「なぜ分けたいか」の2つを決めます。区切り方は来店回数や会員契約の有無など、台帳で数えられる条件にします。理由が「夜や週末の枠を守りたい」なら時間帯で分ける型、「新規を絞りたい」なら入口を分ける型か店が確認してから確定する型、というように、理由から型を選ぶと迷いません。
Q. 予約ツールの設定だけで、一般のお客様の予約を止められますか。
A. 止めきれない場合があります。予約する人が誰かをツールが分かっていない状態、たとえば初めて予約ページを開いた方や名前だけで予約する方は、常連かどうかを最後まで判定できないことがあるためです。設定で絞ったうえで、一般の方が入ってしまったときに断るのか、今回は受けるのかを先に決め、お断りの文面も用意しておくと慌てずに済みます。
Q. 公式LINEで予約を始めると、友だち全員が予約できるようになりますか。
A. 予約のボタンを公式LINEのメニューに置くと、特に分けなければ友だち全員に同じボタンが見えるのが一般的です。いきなり全員に開かず、最初の2〜4週間は常連の方に個別に案内し、その間は店が確認してから確定する形にすると、予約の入り方を見ながら少しずつ広げられます。新規の方をどこから受けるかも、始める前に決めておきます。
運営: 株式会社art crat./SALONA編集部
公開日: 2026-10-02 最終更新: 2026-10-02
本記事の一部は、SALONA利用サロンへのヒアリングに基づき匿名化して掲載しています。