二拠点サロンの予約管理|自宅と間借りを1つの予定表にまとめる
二拠点サロンの予約管理は、予定表より先に移動を決めます
自宅と間借り、店と出張。働く場所が2か所あるサロンの二拠点の予約管理では、予定表の書き方より先に決めることがあります。移動です。ここを決めずに枠を開けると、予約は入っているのに間に合わない日が出ます。この記事でわかることは3つです。(1)1日に何か所動くかの決め方、(2)移動時間を予定として置く手順、(3)場所をお客様にいつ・どう伝えるかの線引きです。紙の予定表でも、スマホのカレンダーでも、そのまま実行できる形にしました。
結論:場所はお客様に選ばせず、店側が日時に割り当てます
先に答えをお伝えします。二拠点の予約でやることは、次の2つです。
① 曜日や時間帯ごとに「その時間はどの場所か」を、店側が先に決めておく。
② 移動する日は、動けない時間を予定として先に埋めておく。
この2つを先にやると、お客様が予約のときに選ぶのは日時だけになります。「どちらの場所がいいですか」とお客様に選ばせると、問い合わせと日程変更が増えます。場所を選ぶ判断には、お客様が持っていない情報(その日の移動、荷物、次の予約)が要るからです。判断の材料を持っている側が決める。これが二拠点の原則です。
手順にすると6つです。
- 1日に何か所動くかを決める。
- 移動時間を予定として先に置く。
- 場所を曜日・時間帯に割り当てる。
- その場で確定させない受け方を、どの枠に使うか決める。
- 場所をいつ・どう伝えるかを決める。
- 崩れた日の逃げ道を先に用意する。
順に見ていきます。
予約は埋まっているのに、その日だけ回らなくなる理由
1か所で営業していたときの予定表は、「空いている=受けられる」で作られています。二拠点になると、この前提が崩れます。空いている時間でも、そこに自分の体がないことがあるからです。
つまずきは、たいてい予定表の書き方ではなく、その手前にあります。移動と、片付けと、荷物の積み下ろし。この3つは施術ではないので、売上の数字にも予定表にも出てきません。出てこないので、無いものとして枠が開きます。そして当日、間に合わない、という形で表に出ます。
ここで、稼働率(営業できる時間のうち、実際に施術が入っている時間の割合。→サロンの稼働率とは?計算方法と個人サロンの目安の決め方)を思い出してください。移動している1時間は、稼働率の分子には入りません。売上も立ちません。それでも自分の1日からは確実に引かれます。二拠点は、この「数字に出ない時間」が構造的に増える働き方です。だから、増えた分をどこで回収するかを先に決めます。
先にお伝えしておくと、場所を分けても手間が減るわけではありません。増えます。この記事は、増える手間を、当日ではなく事前に寄せるための手順です。
二拠点の予約を組み立てる6つの手順
手順1:1日に何か所動くかを、最初に決める
いちばん最初に決めるのは、予定表の作り方ではありません。次の二択です。
- A:1日は1か所。その日は動かない。
- B:1日の中で動く。午前はこちら、午後はあちら。
ここを決めないと、この先の枠の作り方がすべてぶれます。判断の材料は3つあります。
| 見るところ | Aに寄せる目安 | Bに寄せる目安 |
|---|---|---|
| 片道の移動時間 | 30分を超える | ごく近い |
| 片付け・搬入の手間 | 道具や機材を運ぶ・その場で組む | 両方に道具が置いてある |
| その日の予約が1件だけになったときの採算 | 1件のために動くと赤字になる | 1件でも成り立つ、または他の用事と重ねられる |
3つのうち2つがA寄りなら、Aで組んだほうがラクです。とくに最後の1行が効きます。1日1件しか入らなかった日を想像して、それでも動くか。動かないと判断するなら、Bの枠は最初から開けないほうが、あとで断る手間が消えます。
なお、Aを選んでも「移動しない」わけではありません。日をまたいで動くだけです。荷物を前日に運んでおく、片方に置きっぱなしにする、といった工夫がここで効いてきます。
手順2:移動時間は「予定」として先に置く
やりがちなのは、予約と予約の間に自然にできた隙間を、移動に充てる考え方です。これは崩れます。隙間は、予約が入れば消えるからです。
順番を逆にします。動く日は、動けない時間を先に埋める。空いた残りで予約を受けます。
置く幅は、片道の実測に余裕を足した長さにします。足す余裕は、少なくとも次の4つを考えます。
- 天候(雨の日にどれくらい遅れたか)
- 駐車・駐輪(停める場所を探す時間)
- 積み下ろし(道具を車から出し入れする時間)
- 後片付け(出るときに片方の場所を締める時間)
実測が20分でも、この4つを足すと40分になることは珍しくありません。1〜2回、実際に時計で測ってみるのがいちばん早いです。測った数字を書き留めておくと、次に枠を作るときに迷いません。
施術と施術の間に置く準備時間そのものの考え方は、サロンの予約に準備時間(インターバル)を設定する方法|バタつかない枠設計にまとめてあります。この記事で扱っているのは、その外側にある拠点から拠点への移動という別の軸です。両方が要る日は、両方を足して置きます。
手順3:場所は曜日・時間帯に割り当てる
ここが二拠点の予約管理の中心です。
曜日や時間帯ごとに、どの場所で受けるかを店側が先に固定します。たとえば「火・木・土は自宅、水・金はもう1か所」「土曜の午前はこちら、午後はあちら」という形です。お客様が選ぶのは、その中の日時だけになります。
なぜお客様に選ばせないのか。理由は2つあります。
- 問い合わせが増える。選択肢を2つ出すと、「どちらが近いですか」「駐車場はありますか」という確認が予約の前に発生します。
- 変更が増える。選んだあとで「やっぱりもう一方で」となると、日時ごと組み替えることになります。
固定したあとで、その割り当てを紙に1枚書いておきます。曜日と時間帯の表に、場所を書き込むだけで十分です。この1枚が、あとで「その日どっちだったか」を自分が迷わないための台帳になります。
枠そのものの作り方(何時から何時までを、いくつ開けるか)は、完全予約制サロンの予約枠の作り方|1日数組だけ受ける設計で扱っています。この記事では、その枠に場所という属性を1つ足すところだけを見ています。
手順4:その場で確定させない受け方を、どの枠に使うか決める
申し込みを受けて、店側が中身を確認してから確定させる。この一段を挟むかどうかは、二拠点だと判断が分かれます。挟むと確実性は上がりますが、お客様を待たせます。
判断の目安を3つ挙げます。
- その日の場所が、直前まで決まらない枠。ここは挟む価値があります。
- 移動をまたぐ枠(午前と午後で場所が変わる日の、境目の時間)。ここも挟む側です。
- 初めてのお客様。場所の説明が要るので、確認の一段があると案内しやすくなります。
逆に、場所が完全に固定されている曜日は、挟まずにそのまま確定してよい枠です。全部に一段挟むと、お客様の待ち時間だけが増えます。
そして挟むなら、待たせる時間の上限を自分で決めて、先に書いておくのがセットです。「1営業日以内にご連絡します」のように、数字で書きます。ここを書かないまま確認制にすると、返事を待っている間にお客様が他店を検討してしまうことも考えられます。
手順5:場所をいつ・どう伝えるかを決める
基本は、予約が決まった時点で場所が伝わる形にすることです。日時と場所が同時に手元に残るので、当日の行き違いが起きません。
事情があって「確定してからお伝えする」運用にするなら、条件が1つあります。申し込みの前に、そう書いておくことです。
「施術場所は2か所のいずれかになります。ご予約確定後にお伝えします。」
この一文を、予約ページの見えるところに先に置きます。後出しにしないための一文です。お客様が場所を知らないまま申し込む形になる以上、知らないことを先に伝えておく必要があります。
そして、確定後に送る案内の中身を1回だけ作っておきます。毎回書かずに済みます。
- 住所(または待ち合わせの目印)
- 最寄り駅・バス停からの道順
- 駐車場の有無と、停める場所
- 建物の入り口・部屋番号・呼び出し方
自宅で受ける側の住所をどこまで公開するかは、それ自体が別の判断です。自宅サロンをGoogleマップに載せる|住所を出さない条件と代わりに、公開しない場合の代わりの手も含めてまとめてあります。二拠点だと「片方は出す、片方は出さない」という組み合わせになることが多いので、先に読んでおくと決めやすくなります。
手順6:崩れた日の逃げ道を先に用意する
移動が読めない日は、いつか来ます。雪、事故、電車の遅延。その日にどう振る舞うかを、平常時に決めておきます。
- 受けない時間を1つ作る。移動の直後の枠を、はじめから開けない。ここが緩衝材になります。
- その日は1か所に寄せる。予報が悪い日は、前日のうちに片方に集める。
- 連絡手段を1本に決めておく。遅れる連絡をどこから送るかを、事前に1つに決めます。手段が複数あると、急いでいるときに迷います。
この3つを決めておくと、当日にやることが「決めたことをやる」だけになります。
「2か所でやるとなると、ここが難しい」——実際に行き来しているオーナーの声
自宅と、車で15〜20分ほど離れたもう1か所を行き来しているサロンのオーナーAさん(仮名)に、ヒアリングでお話をうかがいました。二拠点の予約で、実際にどこで手が止まるのかがよく表れていたので、ご本人のお話のまま紹介します。
Aさんがまず考えていたのは、両方のスケジュールを1つの予定表に載せておきたいということでした。場所ごとに予定表を分けるのではなく、まとめて見たい。ここは、二拠点で働く方の多くが最初に思うところだと思います。
そのうえでAさんが口にしたのが、次の問いでした。
「その予約時間を登録しておいて、その日程をお客様が選ぶときに、この日だったらもう1つのところ、この日だったら自宅、というのを、予約カレンダーか何かに書いておいたほうがいいですか?」
予定表を1つにまとめる話と、お客様に場所をどう見せる話は、別の問題だという点に、Aさんは自分で気づいていました。ここが二拠点の予約設計のいちばん大事な分かれ目です。店側は1つで見たい。でも、お客様に1つで見せる必要はありません。
移動時間をうかがうと、「車で15分か20分か、20分ぐらい」。そのうえで、こう続きました。
「なので、自宅…難しいですね。そうするとどうなるんだ?」
「2か所でやるとなると……ここがちょっと難しいかなっていうのを今なんか思って」
このやりとりで印象的だったのは、Aさんが距離を口にした直後に「難しい」と言ったことです。予定表の話をしていたはずが、20分という数字が出た瞬間に、問題が移動の話に変わっていました。
もう1つ、Aさんはこうも言っていました。地図に載せるとなると自宅になってしまう、と。二拠点だと、予約の受け方と、地図への載せ方と、住所をどこまで出すかが、同じ1つの判断としてつながってきます。分けて考えると、どこかで矛盾します。
Aさんの問いに対する答えは、この記事の手順3と手順5です。予定表は1つにまとめる。お客様に見せる面では、場所を選ばせず日時に割り当てる。そして場所は、確定した時点で伝わる形にする。ご本人が「難しい」と感じたのは正しくて、難しいのは予定表ではなく、その手前の割り当てを決めていなかったからです。
二拠点の予約は、カレンダーの問題ではなく移動の問題です
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい視点です。
「場所が2つある」と聞くと、多くの方は予定表をどう分けるかを考えます。色を変える、2つ持つ、備考に書く。けれど、実際に困るのは書き方ではありません。書けているのに間に合わないことです。
理由は単純で、場所を2つ持った瞬間に増えるのは「予定の行数」ではなく「移動」だからです。移動は、施術でも準備でもないのに、1日の時間からは確実に引かれます。予定表は、この引き算を勝手にはやってくれません。自分で書き込むまで、存在しないものとして扱われます。
だから二拠点では、予定表を作る前に移動を数えるという順番になります。片道を測る。余裕を足す。その幅を先に置く。残った時間が、受けられる枠です。この順番でやると、枠は減ります。減った枠を見て「思ったより受けられないな」と感じたら、それが手順1の二択(1日1か所にするか、動くか)に戻るサインです。
もう1つ付け加えると、二拠点は「増えた手間をどこに寄せるか」の話でもあります。当日に寄せると、遅刻と謝罪という形で出ます。事前に寄せると、枠の設計という形で出ます。同じ手間なら、落ち着いて考えられるときに寄せたほうがラクです。
よくある失敗3つ
失敗1:お客様に場所を選ばせる。
親切のつもりで「どちらでもお選びいただけます」と書くと、選ぶための質問が返ってきます。駐車場は、道順は、どちらが早く取れますか。予約1件あたりのやりとりが増えます。選ばせるなら、選ぶのに必要な情報を全部先に出す覚悟が要ります。多くの場合、店側が割り当てたほうが速く終わります。
失敗2:移動時間を「なんとなく空けておく」。
予定として置いていない空白は、予約が入れば消えます。ブロックとして置く、あるいはその時間を最初から受付時間の外にする。どちらでもかまいませんが、消えない形にしておきます。
失敗3:場所を確定後に伝えるのに、そのことを先に書いていない。
これがいちばんクレームに近い失敗です。お客様は場所が分かっているつもりで申し込むことがあります。後から「実は2か所あって」と伝えると、話が違うと受け取られかねません。順番を逆にするだけで防げます。先に書いて、後で伝える。
もう1つ、細かいところですが挙げておきます。片方の場所の営業をやめるとき、予約の受け口を先に閉じること。動線を残したまま拠点だけ畳むと、閉じた場所の予約が入ります。閉じる日を決めたら、その日以降の枠を先に消します。
業態別の注意点
美容室・ネイル・まつげ
道具をどちらに置くかで、手順1の判断が変わります。両方に一式そろえられるなら1日の中で動けます。運ぶ必要があるなら、1日1か所に寄せたほうが現実的です。ジェルや薬剤など、置き場所や温度に気をつかうものがある場合は、それも移動の条件に数えます。
エステ・リラクゼーション
ベッドやリネンの都合で、片方でしかできないメニューが出ます。この場合は、メニューごとに受け付ける曜日を変えるという考え方が効きます。場所で分けるのではなく、メニューで分ける。お客様から見ると「このメニューはこの曜日」というだけの、分かりやすい形になります。
なお、複数のジャンルを1つの受け口にまとめる話は、複合サロンの予約を一元管理する設計|整体・エステを1つにまとめるで扱っています。あちらはメニューの軸、この記事は場所の軸です。両方に当てはまる方は、先にメニューを整理してから場所を割り当てると、組み合わせが減ってラクになります。
整体・整骨院・鍼灸など自費の治療院
訪問や出張で施術を行う形を検討している場合は、進める前に確認が要ります。どこで施術できるか、どんな届出や条件が必要かは、業態や自治体によって扱いが異なります。所管の保健所・自治体にご確認ください。この記事は予約の受け方についての内容で、可否や条件を示すものではありません。あわせて、案内の文面では施術の効果や効能について断定的な書き方をしないようにしてください。書けるのは、通い方・所要時間・持ち物・場所の案内といった手順の情報です。
本業の時間の合間に営業している方
拠点の話と、時間の話は別です。使える時間そのものの設計は副業でサロンをやる会社員の予約管理|受けない時間を先に決めるにまとめてあります。まず受けない時間を決めて、そのうえでこの記事の場所の割り当てをかぶせる、という順番になります。
まとめ
二拠点の予約管理は、次の順番で決めます。
- 1日に何か所動くかを決める。1日1件でも動くかを基準にします。
- 移動時間を予定として先に置く。実測+天候・駐車・積み下ろし・後片付けの余裕。
- 場所を曜日・時間帯に割り当てる。お客様が選ぶのは日時だけにします。
- 確認の一段を、どの枠に使うか決める。挟むなら待たせる時間の上限も書きます。
- 場所をいつ伝えるか決める。後で伝えるなら、そのことを先に書きます。
- 崩れた日の逃げ道を用意する。受けない時間・寄せる日・連絡手段の1本化。
拠点が2つになると手間は増えます。増える分を当日に持ち越さず、枠の設計に寄せておく。これが、二拠点で長く続けるための考え方です。
決めたルールは、お客様が見る受け口にそのまま映します
ここまでで決めた「どの曜日にどこで受けるか」「どの枠は確認してから確定させるか」「施術の前後にどれだけ時間を確保するか」は、紙の予定表でも運用できます。ただ、お客様が見る予約の受け口にも同じルールが映っていないと、決めた側だけが覚えている状態になります。
SALONA(サローナ)は、ひとりサロン・小規模サロン向けの予約と顧客管理のサービスです。申し込みを受けてから店側が確定させる受け方、受け付ける曜日や時間帯をメニュー単位で絞る設定、施術の前後に確保する準備時間の設定に対応しているので、この記事で決めたルールをそのまま受け口の側に持っていけます。
よくある質問
Q1. 予定表は場所ごとに分けたほうがいいですか、1つにまとめたほうがいいですか?
自分が見る予定表は1つにまとめることをおすすめします。ダブルブッキングと移動の詰まりは、2つの予定表を見比べているときに起きやすいためです。場所は、予定の中に書き分ける形にします。一方、お客様に見せる面は別です。そちらは場所を選ばせず、日時だけを選んでもらう形にします。「自分は1つで見る、お客様には1つに見える」の両立が目標です。
Q2. お客様に「どちらの場所がいいですか」と聞くのは、そんなに悪いことですか?
悪いというより、割に合わないことが多いです。お客様が場所を選ぶには、道順・駐車・空き状況といった情報が要ります。それを全部先に出せるなら選んでいただいてかまいません。出しきれないなら、質問が返ってきて、結局やりとりが増えます。判断材料を持っている店側が割り当てるほうが、双方の手数が減ります。
Q3. 移動時間はどれくらい見ておけばいいですか?
一律の目安はありません。1〜2回、実際に時計で測るのが確実です。そのうえで、天候・駐車・積み下ろし・後片付けの4つ分の余裕を足します。実測20分が、余裕込みで40分になることもあります。測った数字は書き留めておいて、枠を作るときに毎回同じ幅を使ってください。感覚で決めると、その日の気分で幅が変わります。
運営: 株式会社art crat./SALONA編集部
公開日: 2026年9月4日 最終更新: 2026年9月4日
本記事のお客様の声は、SALONA利用サロンへのヒアリングに基づき匿名化して掲載しています。訪問・出張での施術の可否や必要な手続きは、所管の保健所・自治体にご確認ください。