予約システムの乗り換えで回数券を引き継ぐ|残り回数の照合手順
予約システムの乗り換えで、回数券の引き継ぎをどう進めるか
予約システムの乗り換えで、回数券や月謝の引き継ぎが気がかりだ、という声をよく伺います。多く見せれば持っていない回数で予約が入り、少なく見せれば信用を失うからです。この記事でわかることは3つあります。(1)移す前に「何をお預かりしているか」を1枚にまとめる手順、(2)自動で出た残り回数を全員ぶん同じ手間で見ないための照合の順番、(3)切替日の並べ方と、ズレが見つかったときの直し方です。
結論:残り回数は移す前に1枚にまとめ、照合が終わるまでお客様に見せない
先に答えをお伝えします。順番はこの6つです。
- 移す前に「何をお預かりしているか」を1枚にまとめる。 誰が・あと何回ぶん・いつまで・いくらで買われたか・繰り越しや振替の約束があるか。
- 同じ方が2件に割れていないかを先に片づける。 名簿が割れていると、残り回数も割れます。名寄せは残り回数の照合より前です。
- 自動で出た残り回数は「答え」ではなく「たたき台」として扱う。
- 全員を同じ手間で見ない。 溜まっている方・繰り越しがある方・途中でルールが変わった時期に買われた方から先に照合します。
- 照合が終わるまで、お客様に残り回数を見せない。 見せるなら「確認中です」と先にお伝えします。
- 切替日は「旧を止める→その時点の最新を取り込む→翌営業日から新しい側で受ける」の順に並べる。
この順番の背骨にあるのは、多く見せる事故と少なく見せる事故を、同じ重さで扱わないという考え方です。少なく見せてしまった場合は、お詫びして足せば戻せます。多く見せてしまった場合は、お客様がその回数で予約を入れられた後に「その回数はお持ちではありませんでした」とお伝えすることになります。後始末の重さが違います。判断に迷ったら、少なく見えるほうに倒すのが原則です。
この手順は、紙の台帳からExcelへ移る場合でも、別の予約システムへ移る場合でも、同じように使えます。
自動で出した残り回数が当てにならないのは、「溜まっている人」がいるから
移行の前に、多くの方が同じところでつまずきます。残り回数を計算で出そうとすると、順調に通われている方と、溜まっている方とで、必要な手間がまったく違うのです。
毎月きちんと使い切っている方なら、今月ぶんの消化状況を見れば残りが出ます。ところが、使い切れずに繰り越しが積み上がっている方は、何か月ぶんもさかのぼらないと正しい残りが出ません。繰り越しの上限がある、振替は翌月まで、といったお店ごとの約束が挟まると、さらに複雑になります。
ここに、記録そのもののズレが重なります。よくあるのは次の3つです。
- キャンセルぶんが消化として残っている。 予約が入った記録だけが台帳に残り、キャンセルになったことが書かれていない。数えると1回多く消化したことになります。
- 同じ方が2件に分かれている。 漢字とカタカナ、旧姓、電話番号違いなどで名簿が割れ、回数も2つに分かれています。
- 1日に2回受けられた方がいる。 日付で数えると1回、回数で数えると2回。どちらで数えるかを決めていないと、人によって答えが変わります。
つまり、自動で出した数字は出発点にはなりますが、そのままお客様に見せられる品質ではないということです。ここを「システムが計算してくれるから大丈夫」と考えて進めると、切り替えた翌日にお問い合わせが集中します。
手順1|移す前に「何をお預かりしているか」を1枚にまとめる
最初にやるのは、計算ではなく棚卸しです。移した後では直しにくいので、移す前に紙かスプレッドシートで1枚にします。
回数券や月謝は、会計のうえでは前受金(まだ提供していないぶんの代金として、先にお預かりしているお金)です。つまりこの1枚は、お客様からお預かりしている残高の一覧にあたります。前受金としての扱い方は整骨院の回数券は「前受金」|都度払いと分けて管理する方法にまとめています。
1枚に並べるのは、次の6つです。
| 列 | 何を書くか | なぜ要るか |
|---|---|---|
| お客様 | お名前と、識別できる番号 | 名寄せの突き合わせに使います |
| 種別 | 月◯回・回数券◯回・通い放題など | 種別ごとに照合の難しさが違います |
| 残り回数 | 現時点で使える回数 | 移す対象そのもの |
| 期限 | いつまで使えるか | 期限なしの券が混ざると計算が変わります |
| 購入時の条件 | いくらで・いつ買われたか・何回ぶんか | 途中でルールが変わっていた場合の根拠になります |
| 約束ごと | 繰り越し・振替・休会の扱い | 個別の約束は台帳に載っていないことがあります |
最後の「約束ごと」が抜けやすいところです。口頭でお受けした例外は、どのシステムにも記録されていません。「あの方は体調を崩されていた月ぶんを繰り越す約束をした」といった話は、オーナーの記憶の中にしかないことがあります。移す前に思い出せるだけ書き出しておくと、後から「聞いていた話と違う」というお問い合わせを減らせます。
この1枚は、移行の作業表であると同時に、移した後に「移す前はこうだった」と戻って確認できる記録にもなります。捨てずに残してください。
手順2|名寄せを先に片づける
名寄せ(同じ方の記録が複数に分かれているとき、1つにまとめること)は、残り回数の照合より前にやります。
順番が逆になると、こうなります。分かれた2件それぞれの残り回数を照合し、どちらも正しいと確認した後で、実は同じ方だったと気づく。そこから2件を1つにまとめると、残り回数をもう一度出し直すことになります。照合のやり直しです。
見つけ方は、次の4つで並べ替えて目で見るのが確実です。
- ふりがな順(漢字とカタカナ、漢字と英字の割れが隣り合います)
- 電話番号順(同じ番号で名前が違う行が並びます)
- メールアドレス順
- 生年月日順(ご家族で同じ番号を使われている場合の見分けにも使えます)
このうちメールアドレスは、空欄が多くなりがちな列です。編集部が伺ったお店では、現場で手入力されたぶんを中心に2割から3割ほどが空欄でした。お客様がご自分で予約されたぶんには入っていて、電話でお受けして現場で入力したぶんには入っていない、という分かれ方です。空欄が多い列を主役の鍵にしないでください。名前とふりがなで当たりをつけ、メールアドレスは裏取りに使う、という順番のほうが取りこぼしが減ります。
なお、まとめる操作を取り消せるかどうかはツールによって違います。取り消せない前提で、まとめる前に手順1の1枚に「AさんとA'さんを統合した」と書き残しておくのが安全です。名簿が割れているときの片づけ方はサロンの予約で顧客が重複登録される|名簿を1つにまとめる方法にまとめています。
手順3|自動で出た残り回数は「たたき台」として扱う
名寄せが終わったら、残り回数を出します。過去の履歴が十分にあれば、多くの場合は計算で出せます。ただし、それは確認の手間を減らすための下書きであって、答えではありません。
下書きとして扱うと決めると、作業の性質が変わります。ゼロから数えるのではなく、出てきた数字が合っているかを見る作業になります。これは事務作業として人に頼みやすく、手分けもできます。
下書きを作るときに、先に決めておくことが3つあります。
- キャンセルは消化に数えない。 台帳にキャンセルとして記録されている予約が消化から除かれているかを、数人ぶんで確かめてください。除かれていないと、全員の残りが一律に少なく出ます。
- 日数で数えるか、回数で数えるか。 1日に2回受けられる運用があるお店では、回数で数えないと合いません。
- 期限のない券と、期限のある券を分ける。 年間まとめ買いのような形は、履歴だけでは追いきれないことがあります。
そして、下書きで復元できなかった方は、無理に計算で埋めないことです。「この方は履歴からは出せなかった」と分かる形で残し、手作業に回します。中途半端に埋めた数字は、後から見たときに下書きなのか確定なのか区別がつかなくなります。
手順4|全員を同じ手間で見ない。溜まっている方から照合する
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
照合は全員ぶん必要です。でも、1人にかける手間は全員同じではありません。順調に使い切っている方は、今月ぶんを見れば数秒で終わります。溜まっている方は、何か月もさかのぼることになります。先に簡単な方から片づけると、疲れた終盤にいちばん難しい方が残ります。
順番は、次のように置いてください。
- 繰り越しが溜まっている方(さかのぼる月数が多い方から)
- 期限のない券・まとめ買いの券をお持ちの方
- 途中でルールが変わった時期に買われた方
- 個別の約束がある方(休会・振替・ご家族での共有など)
- 1日に複数回受けられる運用の方
- 順調に使い切っている方(最後にまとめて)
1から5までが終われば、難所は越えています。6は件数が多くても速く進みます。
種別ごとに絞り込める仕組みがあるなら、種別ごとにまとめて見ると速くなります。「月2回の方」「月4回の方」のように同じ条件の方を並べると、1件ずつ考え方を切り替えずに済むからです。絞り込みができるかどうかはツールによって違うので、移行の前に確認しておくとよい項目のひとつです。
人手が要るぶんは、外部の事務の方にお願いできます。お願いするときは、判断の基準を先に紙にしてから渡してください。「キャンセルは消化にしない」「繰り越しは2か月ぶんまで」といった約束を書いた1枚があれば、作業そのものは難しくありません。
手順5|照合が終わるまで、お客様に残り回数を見せない
多く見せる事故と少なく見せる事故は、後始末の重さが違います。だから、照合が終わっていない数字は、お客様の目に触れる場所に置かないのが原則です。
ただ、現実には「見せない」が選べないことがあります。切替日が先に決まっている、告知をすでに出してしまった、といった事情です。その場合の妥協点は1つだけあります。先に「確認中である」とお伝えしたうえで出すことです。
お客様への文面は、次の3つを含めてください。
いつもご利用いただきありがとうございます。
新しい予約ページで、回数の残りをご確認いただけるようになりました。
ただいま移行にともなう確認作業を行っており、表示されている残り回数が実際と異なる場合があります。お心当たりの回数と違っていましたら、お手数ですが◯◯(連絡先)までお知らせください。順次確認のうえ、訂正いたします。
ご予約は、お手元で把握されている回数の範囲内でお願いできますと助かります。
含める3つは、(1)確認中であること、(2)違っていたらどこに知らせるか、(3)手元の把握を優先していただきたいこと、です。(3)を入れておくと、多く表示されてしまった方が、その回数ぶん予約を入れてしまう事態を減らせます。
ご連絡の窓口は1つに絞ってください。 電話・LINE・メール・店頭の4か所で受けると、誰の申告を誰が直したかが分からなくなります。窓口を1つにして、次の4項目を記録します。
- どなたの残り回数を
- いつ
- 何回ぶん、どう直したか
- なぜ直したか(お客様の申告・履歴の確認・手作業の修正の別)
この記録は、後から「そんな話はしていない」となったときに戻れる、ただひとつの手がかりになります。1行で足ります。
手順6|切替日は「止める→取り込む→翌朝から」の順に並べる
残り回数の照合と並んで大事なのが、切替日の並べ方です。前の仕組みと新しい仕組みの両方で予約を受けられる時間があると、その時間に入った予約が片方にしかない状態になります。
順番はこうです。
- 旧の予約受付を止める。 営業が終わった後の時間帯が向いています。
- 止めた時点の最新データを取り出す。 未来の予約と、その日までの消化状況の両方です。
- 新しい側に取り込む。 取り込みが終わるまでは、新しい側でも予約を受けません。
- 翌営業日の開始時刻から、新しい側で受け始める。
止めてから受け始めるまでの間は、どこでも予約ができない時間になります。この時間を隠さず、先にお客様へお伝えしてください。「◯日の夜◯時から翌朝◯時までは、ご予約の受付を停止します。◯時から新しいページでお受けします」と告知しておけば、その数時間は問題になりません。黙って止めるとお問い合わせになります。
並行運用にするか、一晩で切り替えるかの判断は予約システムの乗り換えは並行運用で進める|切替日の決め方と手順にまとめています。乗り換え全体のやることリストはサロンの予約システム乗り換え「やることリスト」全手順が入口になります。
移行を機に、期限や繰り越しの約束を変えない
移行の作業をしていると、「この機会にルールも整理してしまおう」と考えたくなります。期限を統一する、繰り越しの上限を決める、失効の扱いをはっきりさせる。どれも、いつかは向き合う話です。
それでも、移行と同時にやらないことをおすすめします。理由は2つあります。
1つは、お客様から見て何が起きたのか分からなくなるからです。残り回数が思っていたのと違う。それが移行の作業ミスなのか、ルールが変わったからなのか、区別がつきません。区別がつかないと、お問い合わせに対して事実で答えられなくなります。
もう1つは、すでに販売した券の条件を後から変えるのは、移行とは別の手続きが要るからです。お客様は購入時の条件でお支払いになっています。期限や繰り越しの扱いを変える場合は、事前の告知と、ご理解をいただく手順が必要です。
なお、お預かりしている前受金の会計上の扱い、返金の要否、期限切れの扱いは、お店の規約・契約の内容や、お客様との取り決めによって結論が変わります。ここは記事で断定できる領域ではないので、顧問の税理士や専門家にご確認ください。ルール自体を見直すときの考え方は回数券の有効期限の決め方|サロンの繰り越しと失効のルールにまとめています。
実際に移されたオーナーが、いちばん時間をかけられたところ
ここからは、編集部がオーナーに伺ったヒアリングから、実際にこの作業を通られた方のお話をご紹介します。匿名化しています。
Aさん(仮名・会員制のレッスン系サービスを運営されているオーナー)は、長く使ってきた予約サイトから新しい仕組みへ移る直前でした。会員の方は月2回・月4回といった種別で通われ、回数券をお持ちの方もいらっしゃいます。
Aさんが移行の話でいちばん最初に持ち出されたのは、残り回数ではなく切替の段取りでした(業態が特定されるため、言い回しは一般的な表現に置き換えています)。旧サイトを止める時刻と、その時点の最新の予約を書き出す時刻がずれると、同じ枠に二重にご予約が入ってしまう。新しい側で受け始める前に、まずそこを塞ぎたい、というお話です。手順6の並べ方は、このやりとりがもとになっています。
そのうえで、残り回数の出し方についてのAさんの言葉が、この記事の手順4のもとになっています。
ずっと順調に消化してる人は分かりやすく今月分の残りなんですけど、溜まっちゃってる人を3ヶ月ぐらい遡らないと答えが出ない
繰り越しできる期間のルール以外に特別な決まりはない、それでもこうなる、という話でした。だからAさんは、自動で出た数字をチェックするだけの状態にしてほしいとおっしゃいました。ゼロから数えるのと、出てきた答えを見るのとでは、かかる時間がまったく違うからです。
そのうえで、公開の順番についてはこう希望されています。
チェックできるまでちょっと非表示にしていただいて、チェックが終わった段階でお客様のマイページにそれが乗る
ところが、切替日はもう決まっていました。そこで選ばれたのが、手順5の妥協点です。
機械での自動抽出でちょっと間違ってる可能性があるので、チェック中ですので、違うよという方はご連絡ください、みたいな感じをアナウンスで入れて
Aさんが恐れていたのは、お問い合わせの量でした。違うという問い合わせがいっぱい来ちゃうと怖い、3分の1くらいの方から違うと言われたら厳しい、と話されています。おおむね合っていれば運用でカバーできるが、ずれの割合が大きいと受け止めきれない。照合の精度は、お問い合わせの量として返ってくるという見方です。
計算では復元できなかった方——数十人ぶんです——については、事務の担当者と一緒に手作業でチェックする方針を立てられました。全員ぶんを手作業にするのではなく、手作業に回す範囲を先に特定するという進め方です。
Aさんの名簿では、同じ方が漢字とカタカナで分かれて登録されており、回数もそれぞれに分かれていました。統合は業務委託の方に手順を渡して進められています。ここでも、まとめる作業そのものより、まとめる前に対象を特定するほうに時間をかけられていました。
もうひとつ、現場らしい落とし穴のお話がありました。予約がキャンセルになったとき、記録を消さずに「キャンセルになりました」と書き残すスタッフがいらっしゃる。そのため、その行を1回として消化に数えてはいけない。Aさんは照合を始める前にこれに気づき、キャンセルが消化に数えられていないことを先に確かめておられました。
預かっているのは、お店の数字ではなくお客様のお金です
回数券や月謝の残りは、売上の集計表の一行に見えます。けれど中身は、まだ提供していないサービスの代金として、お客様からお預かりしているお金です。
この見方に立つと、判断が単純になります。移行の作業で迷ったとき、比べるのは「どちらが手間が少ないか」ではなく、「どちらがお客様の預けたものを守るか」になります。少なく見えるほうに倒すのも、照合が終わるまで見せないのも、窓口を1つにして直した記録を残すのも、すべてこの一点から出てきます。
移行の作業は、外から見れば地味なデータの突き合わせです。でもお客様から見れば、お金を預けたお店が、その残高を正しく引き継げるかどうかの場面です。そう考えると、数十人ぶんを手作業で全部見る、という判断に時間を使う価値があることも分かります。
よくある失敗とNGな進め方
- 自動で出た数字を、そのままお客様に見せる。 下書きと確定を区別しないまま公開すると、お問い合わせが一気に来ます。確認中だと先にお伝えするだけで、受け止め方が変わります。
- 名寄せを後回しにする。 照合が終わってから統合すると、照合をやり直すことになります。順番は名寄せが先です。
- 全員を同じ手間で見る。 簡単な方から始めると、終盤に難所が残ります。溜まっている方から先に片づけてください。
- キャンセルぶんの扱いを確かめずに数え始める。 消化から除かれていないと、全員の残りが一律にずれます。数人ぶんで先に確かめます。
- 移行と同時にルールを変える。 何が原因でずれたのかを、お客様にもお店にも説明できなくなります。
- 申告の窓口を分散させる。 電話・LINE・メール・店頭で受けると、誰の申告を誰が直したかが追えなくなります。窓口は1つにします。
- 直した記録を残さない。 「誰の・いつ・何回ぶんを・なぜ」の1行がないと、後から戻れません。
- 移す前の1枚を捨てる。 移した後にズレが出たとき、比べる相手がなくなります。
- 前のシステムを止めてから、データが取り出せないと気づく。 止める前に、必要なものが全部手元にあるかを確認してください。預ける前に確認しておくことは予約システムのサービス終了で顧客データはどうなる?預ける前の3確認にまとめています。
業態別に気をつけたいこと
- レッスン・スクール系(月◯回の会員制):月ごとの回数と繰り越しが組み合わさるため、いちばん照合が重くなる業態です。種別ごとに分けて進めること、1日に複数回受けられる方の数え方を先に決めておくことの2つで、作業時間が大きく変わります。
- エステ・脱毛(コース契約):1回ぶんの単価が高く、残り回数のずれが金額のずれに直結します。コースの途中で内容を変更された方、部位を追加された方は、履歴だけでは追いきれないことが多いので、最初から手作業の対象に入れておくほうが速く終わります。
- まつげ・ネイル(回数券):来店の周期が短く、券を使い切るまでの期間も短めです。そのぶん、切替日をまたいで使いかけの券をお持ちの方が多くなります。切替日の前後2週間にご来店予定の方を先に照合すると、当日の混乱を減らせます。
- 美容室(プリペイド・都度の回数券):金額でお預かりしている形(プリペイド)と、回数でお預かりしている形が混在しがちです。この2つは別々の一覧にしてください。同じ表に混ぜると、残高と残り回数が入り混じって確認しづらくなります。
- 自費の整体・鍼灸・美容鍼灸:回数券が前受金にあたる点は他業態と同じですが、通院の間隔が空きやすく、期限切れ間近の券が残りやすい業態です。移行の前に、期限が近い方を一覧にしておくと、切り替え直後のご案内がしやすくなります。会計上の扱いは税理士にご確認ください。
まとめ
予約システムの乗り換えで回数券を引き継ぐときの要点を、もう一度並べます。
- 移す前に、誰が・あと何回ぶん・いつまで・いくらで買われたか・どんな約束があるかを1枚にまとめます。口頭の約束もここに書き出します。
- 名寄せは残り回数の照合より前に片づけます。名簿が割れていると残りも割れます。
- 自動で出た残り回数はたたき台です。キャンセルの扱い・日数か回数か・期限のない券の扱いを先に決めてから出します。
- 全員を同じ手間で見ません。溜まっている方、期限のない券をお持ちの方、個別の約束がある方から先に照合します。
- 照合が終わるまで、お客様に残り回数を見せません。見せる場合は「確認中である」ことと申告先を先にお伝えします。申告の窓口は1つに絞り、直した記録を1行残します。
- 切替日は「旧を止める→最新を取り込む→翌営業日から新しい側」の順に並べ、受付が止まる時間を先に告知します。
- 移行を機に期限や繰り越しの約束は変えません。変えるなら別の手順で進めます。会計や返金の扱いは税理士にご確認ください。
今日できるのは、手順1の1枚を作り始めることです。列を6つ引いて、回数券や月謝をお持ちの方を書き出すところまでで、移行の難所の半分が見えます。
照合が終わったあとの、残り回数の見せ方
照合を終えても、その後お客様に聞かれるたびにお店が台帳を数えて答える形だと、また元に戻ってしまいます。SALONA(サローナ)では、回数券の残り回数と有効期限を、お客様がご自身のページでご確認いただけます。移行のときは、顧客・売上・予約の履歴に加えて、明細を出せない場合でも集計済みの累計ご利用額と来店回数を取り込めます。残り回数そのものの確定は、この記事の手順でお店の手で終わらせてから、見せる仕組みに乗せてください。
お客様が残り回数を自分で確認できる形をSALONAで見てみる →
よくある質問(FAQ)
Q. 前のシステムから、回数券の残り回数をそのまま移せますか。
A. 残り回数そのものをファイルで受け渡しできるかは、移行元と移行先の両方の仕様によります。移行元から残り回数の一覧を出せないことも珍しくありません。その前提で、過去の購入と消化の履歴から組み直し、人の目で照合するのが基本の進め方になります。移行先を選ぶ段階なら、「残り回数はどういう形で引き継げるか」「引き継げない場合はどう入れるか」を、契約前に確認しておくとよい項目です。
Q. 照合が終わる前に、お客様から「残り何回ですか」と聞かれたらどう答えればいいですか。
A. 分かっている範囲でお答えしたうえで、確認中であることを添えてください。「現在、移行にともなう確認作業を行っており、後日変わる可能性があります」の一言があるだけで、後から訂正するときの負担が大きく変わります。分からない場合は、無理に数字を出さず、確認してからご連絡する形にしてください。その場しのぎで多めにお伝えするのは避けてください。
Q. 移行のタイミングで、有効期限や繰り越しのルールを見直してもいいですか。
A. 同時に行わないことをおすすめします。残り回数がずれた原因が、作業なのかルール変更なのか、お客様にもお店にも説明できなくなるためです。すでに販売した券の条件を変える場合は、事前の告知とご理解をいただく手順が別に必要になります。会計上の扱いや返金の要否はお店の規約や取り決めによって結論が変わるため、顧問の税理士や専門家にご確認ください。
運営: 株式会社art crat./SALONA編集部
公開日: 2026-09-16 最終更新: 2026-09-16
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